着物に補正は必要ですか?補正のメリットデメリットと判断基準

ハウツー

ごきげんよう、椎名さん。です。

本日は「着物に補正は必要ですか?補正のメリットデメリットを知ろう」のお話です。

補正はした方がいい?

着物を着る際には補正は必要?いや、不要?

この論争はベテランキモノスキーの間でも意見の分かれるところです。

着付教室で教えている方の中でも
「補正は美しい気姿のために絶対に必要です!」
という方もいれば
「補正しない着付を教えることを得意としています」
という方もいます。

着物が日常着だった大正や昭和初期の写真を見れば
補正していないと思しき着姿がほとんどですが、
現在刊行されている着物雑誌を見れば
きっと補正されているであろう皺ひとつない着姿・・・

このふたつなら時代も違うし着姿も違うのは当然なのでは?
とも思いますが
では実際に現在普段着として着物を着ている人はどうなのでしょう?

結論から言うと、これは人に寄るし
シーンによっても変わります。
端的に言ってしまえばどっちが正解というものはないのです。

えー、じゃぁどうすればいいの?
という初心者キモノスキーもいるかもしれません。

けれどこれは本当に人それぞれなのです。

胸が小さい人は・・・
寸胴体系の人は・・・
反り腰の人は・・・
一般的にはした方がいい体型、しないほうがいい体型など等
言う人もいます。

けれど、これ、誰にどう言われるかより自分の好みだと思うのです。
自分が好きだなと思うスタイルや
自分がこうありたいと思う出来上がり、
優先したい事項に寄るのです。

お茶会のように隙のない着付をしたい。
明治時代の娘さんのように体のラインを拾う着方をしたい。
何より着付の時間が短いのがいい。

人それぞれ何を苦痛に感じるか、
何を理想としているのかが違います。

本日は補正をすることのメリットデメリット、
しないことのメリットデメリットのお話をします。

自分は補正する?補正しない?
「私はこっち派だなー」
と思う判断のひとつとしてお使いいただければ幸いです。

→関連記事「あなたの好みはどんな感じ?普段着物のジャンル」

補正することのメリット


(これは補正しています)

着崩れしにくい

着物は1枚の布を体に巻き付けて着ます。
それは、マイサイズで仕立てる着物も誰かのサイズで仕立てられた着物も同じです。

凹凸のある人間の身体に巻き付けると
動く度にどうしてもこれはズレてきてしまう・・・。
それが着崩れです。

補正というのは体を寸胴に近付ける方法ですから
凹凸がなくなる分、着崩れはしにくくなります

これが補正することの実用的で最大のメリットなのではないかと思います。

まっすぐな着姿の実現

現在刊行されている「美しい着物」「着物salon」などの着物雑誌に出ている着姿は
皺ひとつない裾すぼまりなビシッとしたラインです。

これは茶道をやっている方や呉服屋さんのパンフレットなどで好まれるスタイルだなと思います。

このスタイルを実現しようとしたら
補正は必要です。

凹凸のある体に何もなく着物を着れば
大なり小なりシワはできます。

それを防ぐ。
という意味では補正は必要ということです。

補正をすればあの雑誌のような気姿の実現が近づくというメリットがあります。

冬は暖かい

補正というのは「何かを足す」という作業です。
タオルであったりガーゼであったりコットンであったり・・・・

人や部位によって使うものは違いますが
寸胴に近付けるために身体を削る・・・
というのが不可能である以上
「足す」ということになります。

足すということはその分身に纏うものが多くなりますから
暖かくなります。
お腹周りに1枚増えるだけでも随分暖かくなるので
冬に限らず、エアコンが効いた部屋が苦手です・・・
という人にとっては暖かいのはメリットです。

→関連記事「のてっぺんからから足元まで!着物ライフの防寒対策」

補正することのデメリット

暑い

デメリットはメリットの逆なので当然ですが
纏う枚数が増えれば当然暑いです。

暑がりな人にとっては
「1枚でも減らしたい・・・」
と思うのではないでしょうか。。。。

あまりに暑いとのぼせたり熱中症になるリスクもあります。
特にこれからの季節においてはデメリットと言えるのではないでしょうか。

グッズが必要

補正するためには何某かのグッズが必要です。
それ専用のものもありますが、
専用グッズを使用せずとも
通常のタオルやガーゼも補正しなければ不要なものです。

その分かかる購入のためのお金、
自分の必要なサイズにカットしたり縫ったりする手間
洗ったりすること
そういったことも含めグッズが必要ということはコストがかかります。

着付に時間がかかる

補正しなければ不要な手間が増える分
着付に必要な時間は増えます。

ただこれについては人それぞれかと思います。

何故なら補正をすればその分ズレがなくなるので
着付が楽になる。
という人もいるからです。

なのでこちらはメリットになる人もいると思います。

ただ、このブログは基本的に初心者キモノスキーに向けて書いているので
慣れるまでは・・・
という意味でここではデメリットに入れています。

補正しないことのメリット


(これは補正していません)

自然な着姿の実現

こちらは補正することのメリットと逆に
身体の凹凸が出ますから
その分自然な着姿になります。

これはどちらの着姿を目指しているかによって
どちらがメリットかデメリットか変わる部分ではあります。

補正をすること(しないこと)によって
自分の目指す着姿に近づける。
という意味で、着姿の実現についてはどちらもメリットだと思うのです。

明治時代の娘さんのような自然なラインを目指すなら
補正はしない方が実現に近づきます。

持ち物が少なくて良い

補正するためのグッズが不要な分、
持ち物は少なく済ませることができます。

通常時の着付の際に準備するものの少なさももちろんですが
旅行に行くときなどは荷物が少ないのはメリットと言えるでしょう。

手間が少ない

これは着付をする時のひと手間・・・
ももちろんですが、
タオルや補正器具を洗ったりなどのメンテナンスも含め
手間が少ないのはメリットだと思います。

補正をしないことのデメリット

着崩れしやすい

補正しないということは体の凹凸をならしていないということなので
どうしても動く度にずれます。
着崩れしやすいということです。

着たままでもちょちょっと直す手段はたくさんありますが
できる限りそういうことをしたくない!
という場合は着崩れは最大の敵になります。

汗染みがつく可能性が高くなる

タオルや補正器具を使う場合は
皮膚と着物の間に入る布が増えるということです。

けれど補正をしない場合はそれが少ないということです。
なので汗染みができる可能性は上がります。

私は気になったことはありませんが、
とても汗かきな方は
その部分を気にして夏場もタオルを挟みます!
という方もいます。

判断基準あれこれ

判断基準はひとそれぞれです。

「理想の着姿」を求めて選ぶのも良し!
「手間の少なさ」で選ぶのも良し!

最近は簡単に補正できるようなグッズも売っているので
自分でお裁縫して作成しなくても
手軽に補正グッズも手に入りますから
「不器用だから補正グッズは作れない・・・」
と落ち込む必要もありません。

 

私の聞いたことのある事例だと

補正する人は

・歳を重ねて胸の上が瘦せてきて衿が浮くようになったのでその部分の補正をする
・反り腰なので補正したほうが帯が綺麗に結べる

補正しない人は

・ウエスト周りを補正するとものすごく太って見えるから嫌だ
・皮膚が荒れやすいので夏場の補正は汗疹が出てしまう

という判断をしている人がいました。
また、補正はしたりしなかったりするよ。
という時によって分けるという人も多く
そういう人は

・小紋や張りのある素材の時はしないけれど
 色無地や柔らかものの時は凹凸が目立ってなまめかしくなってしまうから補正する
・フォーマルの時はする

という使い分けをされている方もいます。

私自身は


(この位置で伊達締めを締めるのは補正ほひとつ)

では私自身はどうかと言うと基本的には大きな補正はせず、
時々着物によっては補正する、というスタンスです。

あまり大きな補正をしない理由は

・元々結構恰幅がいいから
・気楽に着ることに重きを置いているから

というものですが、全くしていないのか?
と問われると少ししています。

それは伊達締で胸を平らに均したり、
帯板をまわりっこにしてウエスト部分を少し足したり・・・というもの。

そして、柔らかい素材の着物を着るときは
ちょっとだけ補正したりもします。

 

着物を始めたころは毎回補正をしていた頃もありますし、
全くせずに来ていた時期もありますが、
色々試したりやめたりを繰り返して
今の私にとってはそれが1番ちょうどいいバランスだなと思います。

今後、大幅ダイエットに成功した!とか
理想とする着姿が変わった!という場合があれば
変わってくると思います。

ちなみに補正することで苦しくなるのでは?
と聞かれることもありますが、
これは慣れと技術、体型に合っているか否かという問題で変わってきます。

私は初心者キモノスキーの頃、自分で補正をして
「苦しい・・・」
と思ったこともありますが
着付師さんに着せてもらって結婚式に参列した時
しっかし補正してもらったけれど
どんなに食べても苦しくない!!
ということも経験しています。

だからこそ今回はメリットデメリットの中に
「苦しい」
は入れませんでした。

補正は奥が深い・・・


(張りのある素材の着物に厚みのある帯なら補正しなくてもこのまっすぐさ!)

今回補正のメリットデメリットというざっくりしたことをお話していますが、
補正は大変に奥が深く、
自分にとってちょうどいい補正を探すのは中々に長い旅であると思います。

和装ブラはどうする?
このグッズは楽?
ここに入れるのはどれくらいの厚みがいい?
探すのには1発で最高の答えが出る!ということはないでしょう。

補正だけを習いに着付教室に行く人もいるそうで、
やっぱり着付のプロに習うと
「どこが足りないか」
を一発で見抜かれた!というエピソードも聞いたことがあります。

だからみんな着付教室に行こう!という気はありませんが、
だからこそ
「私は絶対にコレ!!」
と最初から決めつけず「?」の気持ちがあるならば
ひとまずやってみて
トライアンドエラーを繰り返してみることをお勧めします。

まとめ

着物の補正は必要か?
と問われると、それは「人それぞれ」というのが答えです。

補正することのメリットは

・着崩れしにくい
・まっすぐな着姿の実現
・暖かい

補正することのデメリットは

・夏は暑い
・グッズが必要
・着付けに時間がかかる(人による)

補正しないことのメリットは

・自然な着姿の実現
・必要なものが少なくて良い
・手間が少ない

補正しないことのデメリットは

・着崩れしやすい
・汗染みがつく可能性が高くなる

他にも人それそれメリットに感じること、デメリットに感じることはあります。

究極は好みです!

自分の好きなスタイルになるように
優先させたいことを念頭において
試行錯誤しながらマイベストな着姿が出来上がりますように☆

では、また次回。
じゃぃねー。

 

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